2011年7月20日水曜日

タイ、カンボジアに紛争地域からの撤兵命令

タイニュースクリップ

世界遺産のヒンドゥー寺院遺跡プレアビヒア周辺地域でのタイとカンボジアの国境紛争で、国際司法裁判所は18日、プレアビヒア周辺の国境未画定地域の領有権に関する判断を求めたカンボジアの訴えを受理するとともに、タイとカンボジアが武力衝突を繰り返している地域に非武装地帯を設定し、両国に対し、非武装地帯からの撤兵を命じた。また、プレアビヒアへのカンボジアのアクセスをタイが妨害することを禁止し、紛争地域に東南アジア諸国連合(ASEAN)の停戦監視団を受け入れるよう両国に指示した。

 国際司法裁は1962年、プレアビヒアをカンボジア領とする判決を下したが、周辺の領有権については判断を示さなかった。カンボジアはタイとの国境紛争を受け、今年4月、この判決の解釈を国際司法裁に要請し、判決が出るまでの暫定措置として、プレアビヒア周辺からのタイ軍の撤退と軍事行動の停止を命じるよう求めていた。

 タイはカンボジアとの紛争の2国間協議による解決を主張し、ASEANの停戦監視団受け入れを事実上拒否。国際司法裁に対しては、カンボジアの訴えを却下するよう求めていた。18日に国際司法裁に出廷したタイのカシット外相は、「両国に撤兵を呼びかける内容で、満足した」と述べたが、実際にはタイ側の主張はほぼ全て退けられた形だ。

 タイのアピシット首相は19日に国防相、陸軍司令官、外務次官らを集め、対応を協議する予定。ただ、タイでは今月3日の下院総選挙で、領土問題に敏感な特権階級・保守派が支持するアピシット民主党政権が破れ、タクシン元首相派の政権復帰が決まった。タクシン元首相はカンボジアのフン・セン首相と個人的に親しく、両国関係はタイ新政権の下で好転すると予想される。

 プレアビヒアはクメール王国が9―11世紀に建立したとされ、タイ・カンボジア国境地帯の崖の上に建つ。2008年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されたが、世界遺産の共同登録・管理を主張していたタイはこれを不満とし、同年以降、周辺地域でカンボジアと武力衝突を繰り返した。今年2月と4月には両国軍が大砲、ロケット弾を撃ち合うなど本格的に交戦し、双方の兵士、住民ら30人近くが死亡、100人以上が負傷し、周辺地域の住民10万人以上が一時避難した。この問題をめぐり、タイは今年6月、世界遺産条約からの脱退を表明した。


タイ空軍のブラックホーク、ミャンマー軍基地近くに墜落か

タイのテレビ報道によると、19日にタイ西部を飛行中に連絡を絶ったタイ空軍のヘリコプターは国境からミャンマー領に1キロほど入った、ミャンマー軍の基地近くに墜落したもようだ。タイ軍はミャンマー軍に救助を要請するとともに、現場周辺に地上から捜索隊を送る方針。
右がタワン・タイ陸軍第9歩兵旅団司令官(陸軍少将)

 墜落したのは米シコルスキー・エアクラフト社製のブラックホーク機で、タワン・タイ陸軍第9歩兵旅団司令官(陸軍少将)ら9人が搭乗していた。16日に周辺地域で墜落したタイ空軍の別のヘリコプターの遺体収容のため、現場に向かい、19日正午ごろ、連絡が途絶した。


タイ深南部テロ、上半期の死者262人

タイ当局によると、今年上半期にタイ深南部3県(ナラティワート、ヤラー、パタニー)で報告があったテロ事件は銃撃327件、爆破103件、放火11件で、前年同期の239人を上回る262人が死亡した。死者は一般人223人、兵士29人、警官10人。

 7月に入ってもテロは毎日にように発生している。ヤラーでは18日、ピックアップトラックに乗った男が路上の男性3人を自動小銃で射殺。19日にはバイクに仕かけた爆弾が爆発し、兵士9人、生徒3人など16人が負傷した。同日午後、パタニーでは民家で爆弾が爆発し、義勇兵2人が死亡、2人が負傷した。

 タイ深南部は住民の過半がマレー語方言を話すイスラム教徒で、タイ語、仏教徒が中心のタイで異質の地域となっている。タイからの独立を求めるマレー系イスラム過激派による武装闘争が2001年から激化し、これまでに5000人以上が銃撃、爆破などで死亡した。


東トルキスタン

新疆で派出所襲撃事件 死者18人 ウイグル人団体「中国政府が情報操作」

中国政府系メディアによると、新疆ウィグル自治区のホータン(和田)市で、現地時間7月18日正午12時頃、ウイグル人グループが現地の派出所を襲撃する事件が発生した。警官が襲撃犯を射殺して制圧したが、その間、警官、人質ら4人、襲撃犯の14人が死亡したと報じられている。一方、ドイツのウイグル人権団体は、政府メディアの報道が情報を操作していると主張。同日に発生したウイグル人による非暴力的な抗議への弾圧が、襲撃事件発生の引き金であると指摘した。

 中国国営新華社は、派出所を襲撃したウイグル人を暴徒と名づけて、人質を取って放火したなどと報じた。それによると、駆けつけた武装警官が抵抗する襲撃犯を射殺した。その間、警官と人質ら4人が死亡、6人の人質が解放された。襲撃犯の身元とその動機、射殺された襲撃犯の人数、現地の今の状況についての説明はない。

 共産党機関紙・人民日報の関連報道によると、射殺された襲撃犯は14人、負傷者は1人と報じたが、後にこの部分の内容が削除された。

 また、中国政府の国家反テロ対策チームが襲撃事件後、現地入りしたことも伝えられている。

 ドイツのミュンヘンに拠点を置く、世界各国のウイグル人組織を統括する上部機関「世界ウイグル会議」のスポークスマンのディリシャット氏は英BBC(中国語版)の取材で、中国政府系メディアは政府に有利な情報を一方的に流していると非難し、同日に行われたウイグル人の平和的抗議に対する弾圧が、襲撃事件の誘因であると主張し、状況について詳しく説明した。

 ディリシャット氏によると、2年前に武力弾圧されたウィグル人大規模抗議事件「7.5事件」以来、現地では大勢のウイグル人の若者が行方不明になったり、現地政府に逮捕され、状況がわからなくなったりしている。同市在住の一部のウイグル人たちは同18日に抗議活動を計画し、政府に対してこれらの所在不明のウイグル人の情報開示などを求める予定だった。

 「また、大量の漢民族が移住してきており、土地や資源を占有しているため、ウイグル人の生存環境がますます厳しくなっている。現地のウイグル人たちはこの事実も政府に抗議する予定だった」という。

 同氏の話では、18日の抗議は警察に弾圧され、1人の抗議者は銃撃されて重傷を負い、13人はその場で逮捕された。「平和的抗議への暴力行為による弾圧。抗議者に銃を発射して、けが人を出したから、今回の派出所襲撃事件が発生した」と同氏は主張している。

 ディリシャット氏はまた、「抗議活動が弾圧されてから衝突に変わるような事件において、安易に抗議者に暴徒あるいはテロリストなどの罪を着せないで欲しい」と中国政府をけん制した。

 現地のある住民は本紙の電話取材に対して、派出所に突入したウイグル人の多くは警察に射殺された。死者数は分からないと語った。

 
 「現地では厳しい戒厳体制が敷かれており、警察当局は住民の自宅を一軒一軒捜査している」とディリシャット氏はBBCに証言した。




アフマディーネジャード「世界で起きているあらゆる運動は、《時のイマーム》の許可のもとにある」


2011年07月19日付 Mardomsalari紙

 大統領は救世主マフディーによる救済を待つ行為について、「最高かつ革命的な行為として理解することが必要である。すなわち救済に至るためには、われわれ自身が運動を起こすことが必要なのだ」と指摘し、「マフディー待望とは、《時のイマーム》〔※終末の時に救世主マフディーとして降臨すると信じられている第12代イマーム〕が来るのをじっと待っていることだ、などと考えている者が一部にいるが、これはマフディー待望について最も逸脱した解釈である」と述べた。

 ISNAの報道によると、マフムード・アフマディーネジャード大統領は昨日正午、シェイフ・サフィーオッディーン・アルダビリー遺跡群の世界遺産登録を祝う式典のなかで、《時の主》〔※第12代イマーム・マフディー〕の生誕日〔※シャアバーン月15日、西暦7月17日〕を祝った上で、次のように述べた。

イスラームの親愛なる預言者が神の召命を受けたことは、世の創造の時代から今までで最大の出来事である。預言者は天の全ての門を人類に開け放ち、全ての知、叡知、慈愛、恩寵、そして美を、地上にもたらした。偉大なる預言者はあらゆる神の恩恵の仲介者であるが、人類は様々な理由で、これまで〔神の人類への〕全慈愛を活用できずにきた。イスラームやその他の預言者たちの起こした運動が実を結ぶのを阻害してきたのは、主に狂信や硬直した思想、利己主義、怠慢、そして〔神の教えに対する〕反逆などであった。

 大統領は、ムハンマドの召命日に起きた大いなる出来事は、より大きな出来事とともに完成をみるだろうと指摘し、「歴代の預言者たちと同じ種類の人物、天に属し、あらゆる型から自由な人物が登場する必要がある。あらゆる障害、秩序、支配、そして利己主義を打ち破り、人類を完全に解放する人物が必要だ」と語った。

 アフマディーネジャード大統領は、第12代イマームの生誕日こそ、この輝かしき日の実現の吉兆に他ならないと述べ、「時のイマームは、全ての預言者の相続人であり、あらゆる善を受け継ぐ人物である。彼は、あらゆる神的性質の完璧な権化であり、神の知と英知と力を顕現させるだろう」と指摘した。

 大統領はさらに、「彼は神の代理として全世界を支配する者にして、神の恩恵の仲介者である。世界で起きているすべての動きは、時のイマームの許しの下にある。実際のところ、〔時のイマームが「お隠れ」になっているのではなく、その逆に〕我々が〔本当の世界から〕隠れされ、彼が顕在しているのである」と続けた。

 大統領は、もし神のために努力をすれば、その者は時のイマームの後見の下に置かれるだろうと力説し、「すべての希望を絶望へと変える物質主義による闇の支配の時代にあって、偉大なるイラン国民は、冷徹な計算の上では勝利の可能性はゼロであるにもかかわらず、徒手空拳で世界の全物質主義諸国に対して立ち向かい、それに勝利を収めたのである」と胸を張った。


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