2011年6月26日日曜日

タイ、ユネスコ世界文化遺産保護の条約から脱退

タイ側呼称:カオ・プラ・ウィハーン遺跡

タイニュースクリップ

25日にパリで開かれた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第35回世界遺産委員会会合で、カンボジアの世界遺産「プレアビヒア寺院」の管理計画を同委が認める見通しとなったことを不満とし、タイ代表団が世界遺産条約からの脱退を表明した。タイ側は、プレアビヒアはタイとカンボジアの国境未画定地域に隣接し、管理計画の承認はタイの領土侵害につながると主張している。

 世界遺産条約からの脱退はタイが初めてで、アユタヤ遺跡、スコータイ遺跡といったタイ国内の5つの世界遺産への影響が懸念される。ただ、タイは7月3日に下院総選挙があり、政権が交代した場合、脱退を取り下げる可能性がある。

 プレアビヒアはクメール王国が9―11世紀に建立したとされ、タイとカンボジアが領有権を争った末、1962年に国際司法裁判所がカンボジア領とする判決を下し、2008年に世界遺産に登録された。これを不満とするタイは2008年以降、周辺地域でカンボジアと武力衝突を繰り返し、今年2月と4月には両国軍が大砲、ロケット弾を撃ち合うなど本格的に交戦した。この戦闘で双方の兵士、住民ら30人近くが死亡、100人以上が負傷し、周辺地域の住民10万人以上が一時避難した。

タイ政権、総選挙直前に痛手

 タイの現政権は領土問題に敏感な王党派、保守派の支持を受け、カンボジアとの国境紛争で強硬姿勢を貫いてきた。世界遺産条約からの撤退は、こうした硬直した外交の結果であり、国際世論の支持を受けていないことも自国民にさらけ出してしまった。現政権の中核である民主党は下院選でタクシン元首相派の野党プアタイに対し劣勢と報じられており、選挙の1週間前という最悪のタイミングで大きな外交的な失点を犯した形だ。

 世界遺産委員会会合に出席したタイ代表団長のスウィット天然資源・環境相は25、26日、簡易ブログ「ツイッター」に「(世界遺産委員会は)任務を忘れて紛争を引き起こしている」「ユネスコに脱退の書状を出した」「タイの世界遺産には影響はない」などと強気の書き込みを続けたが、タクシン派のノパドン元外相は交流サイト「フェイスブック」に「現政権は世界に友人がほとんどなく、ロビー能力がない」と酷評。プアタイの比例代表名簿1位でタクシン氏の妹のインラク氏はタイの地元メディアに対し、「(世界遺産条約からの脱退は)タイ国内の世界遺産に影響を与えるかもしれず、慎重に考慮する必要がある」と述べ、政権をとった場合、脱退を取り下げる可能性を示唆した。


タイの暗殺チーム容疑者2人逮捕 県議長殺害、前下院議員襲撃に関与か

タイのテレビ報道によると、中部ロッブリ県自治体議長のスバンさん(53)と妻、秘書が6月16日に県内の路上で銃で撃たれ、スバンさんが死亡、妻と秘書がけがをした事件で、タイ警察は26日までに、容疑者のタイ人男2人を逮捕した。2人はエカチャイ容疑者(32)とトラクーン容疑者(27)で、いずれも犯行を認めている。スバンさんは7月3日の下院選に立候補している連立与党プームジャイタイ党のマリカー前下院議員の兄で、マリカーさんの選対幹部を務めていた。

 エカチャイ容疑者は25日、バンコク郊外のホテルで逮捕された。暗殺チームの一員としてスバンさん殺害を依頼され、殺害実行犯を乗せたバイクを運転し、報酬として22万バーツを受け取ったと供述している。殺害の依頼は仲介者を通じて行われ、依頼者は知らないという。容疑者はまた、過去数年、同じ暗殺チームのメンバーとして活動したと話しており、5月10日にタクシン元首相派の野党プアタイのプラチャー前下院議員が銃撃され負傷した事件についても関与を認めた。

 トラクーン容疑者は25日夜、警察に出頭した。スバンさん殺害の見張り役として4000バーツを受け取ったと供述。殺害の依頼者・暗殺チームに口封じで殺されるかもしれないと思い、警察に保護を求めたと話している。


7月3日の下院選を前に選挙絡みの暗殺が増える恐れがあるとして、タイ警察は殺し屋の逮捕に力を入れる方針だ・・・
 警察は今年に入り、「殺し屋リスト」の上位50人のうち、6人を逮捕、1人を射殺した。「殺し屋リスト」はウェブサイト(http://www.gunman.police.go.th/)で公開中で、逮捕につながった情報には10万バーツの報奨金が出る。

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