2010年12月22日水曜日

バンコクの非常事態宣言、本日解除

 タイ政府は21日の閣議で、バンコクと周辺3県の4都県(バンコク、ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカン)に発令している非常事態宣言の解除を承認した。22日付で施行する。ポストトゥデー(電子版)が報じた。
タクシン元首相派の反独裁民主戦線(UDD)の反政府活動に対応して4月7日に発令された非常事態宣言は、8カ月半ぶりに全面的に解除されることになった。

非常事態宣言解除に伴い、治安対策で国軍の役割が大幅に縮小され、警察が主体となる治安維持法(ISA)が発令される。

年末、クリスマスシーズンを控え、観光、小売り、対外イメージなどに配慮した。今後暴力的な反政府デモが発生した場合は、非常事態宣言に似た内容の国内安全保障法で対応する方針だ。

 非常事態宣言は5人以上の集会禁止、容疑なしでの30日間の身柄拘束、報道統制などを合法化するもので、タクシン元首相派の大規模な反政府デモを受け、4―5月にタイの全76都県中24都県で発令された。その後順次解除されたが、首都圏では爆破事件の散発やタクシン派、反タクシン派双方のデモなどで継続されていた。

 タクシン派は過去数カ月、非常事態宣言を無視する形で、バンコク都内で数千―1万人規模の反政府集会を繰り返しているが、軍・警察との衝突は起きていない。

 タイでは2005年の下院選で議席の75%を占めたタクシン政権(2001―2006年)が翌2006年に軍事クーデターで追放され、以来、タクシン政権の低額医療制度やマイクロファイナンスなどで恩恵を受けた低所得者層、東北・北部などの地方住民がタクシン派、タクシン氏を反王室、腐敗政治家と批判する特権階級、バンコクの中間層が反タクシン派という大まかな色分けで、政治闘争が続いている。

 タクシン派は今年4―5月にバンコク都心部を長期間占拠し、5月19日に軍によって強制排除された。一連の衝突による死者は91人、負傷者は1400人以上に上る。

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