2010年2月22日月曜日

オバマ大統領の2010年一般教書演説―外交政策部分の抜粋



2010年1月27日

通商政策

 私たちは、米国製品の輸出を増やす必要があります。製品の生産量と輸出量を増やせば増やすほど、国内で支えることができる雇用の数が増えるからです。ですから、今夜、新たな目標を設定します。今後5年間で輸出を倍増させる、という目標です。この輸出増により、米国内で200万人の雇用機会を支えることになります。そしてこの目標の達成を支援するために、国家輸出イニシアチブを発足させます。これは、農家や中小企業の輸出増加を助け、国家安全保障に沿った形で輸出規制を改革するためのものです。

 私たちは、競合する国々と同様に、新しい市場を積極的に求めていかなければなりません。他の国々が通商協定を結んでいる中で、米国が傍観しているだけならば、国内で雇用を創出する機会を失うことになります。しかし、こうした恩恵を得るということは、貿易相手国が規則に従って行動するような形で、こうした協定が執行されることも意味します。だからこそ、私たちは、世界の市場を開放するドーハ・ラウンドでの合意に向け今後も交渉を続け、アジアにおける貿易関係、および韓国、パナマ、コロンビアなど主なパートナー諸国との貿易関係を強化していきます。

安全保障政策

 米国の歴史を通じて、国家安全保障の問題ほど、この国を団結させてきた課題はありません。悲しいことに、9・11同時多発テロ後に私たちが抱いた一体感は、多少薄れてしまっています。その責任が誰にあるのかということはいくらでも議論できますが、私は、過去について再び争うことには関心がありません。私たちの誰もがこの国を愛しているということは確かです。誰もがこの国を守る熱意を持っています。ですから、誰が悪者かということをめぐって、子供のようにののしり合うのはやめようではありませんか。米国民を守るか、私たちの価値観を守るか、という間違った二者択一は退けようではありませんか。恐怖と分裂から脱却して、国家を守るために、そして米国にとっても世界にとっても、より希望に満ちた未来を築くために必要なことを実行しようではありませんか。

 こうした取り組みを、私たちは昨年から始めました。私が就任したその日から、私たちは、この国を脅かすテロリストに対する対抗措置にあらためて力を入れてきました。国土安全保障に多大な投資をし、米国民の生命を脅かす計画を阻止してきました。クリスマスのテロ未遂事件によって明らかになった、容認することのできない欠陥を修復するために、空の安全対策を向上させ、米国の情報活動の迅速化を図っています。私たちは、拷問を禁止し、太平洋から南アジア、そしてアラビア半島に至る各地でパートナーシップを強化しています。また、この1年間には、多くの幹部を含む多数のアルカイダ戦闘員および関係者が逮捕または殺害されており、その数は2008年をはるかに上回っています。

 そしてアフガニスタンには米軍を増派します。それとともに、2011年7月には、アフガニスタンの治安部隊が(治安の維持で)主導的な立場に立ち、米軍が帰国を始めることができるようにするために、治安部隊を訓練しています。私たちは、優れた統治に報い、腐敗を減らす努力をし、男女を問わずすべてのアフガニスタン国民の権利を支持します。私たちの同盟国やパートナー諸国も、それぞれ(アフガニスタンへの)関与を増やしており、明日ロンドンに集まって共通の目的を再確認することになっています。この先、困難な日々もあるでしょうが、成功することを強く確信しています。

 私たちは、アルカイダとの戦いに挑む一方で、イラクを、責任ある形で同国民に委ねるつもりです。大統領候補だったときに、私は、この戦争を終わらせることを公約しました。そして今、大統領としてそれを実行しています。米国は、今年8月末までに、米軍戦闘部隊をすべてイラクから撤退させます。私たちはイラク政府を支持します。イラク政府が選挙を行うに際して同政府を支持し、地域の平和と繁栄を促進するために引き続き同国民と協力していきます。しかし、この戦争が終わり、米軍兵士全員が帰国することは間違いありません。

 今夜、イラク、アフガニスタン、そして世界各地にいる米軍の兵士たちには、私たちが彼らを尊敬し、感謝し、全面的に支持していることを知ってほしいと思います。そして、彼らが戦争で必要とする資源を彼らに与えなければならないのと同様に、彼らが帰国してからも支援を提供する義務が私たちにはあります。だからこそ、私たちは昨年、退役軍人への投資について過去何十年間で最大の増額を行ったのです。だからこそ、21世紀の退役軍人省を築こうとしているのです。ミシェルがジル・バイデン副大統領夫人と共に、軍人の家族を支援する国家的な取り組みを開始しようとしているのもそのためです。

 私たちは今、2つの戦争を遂行する一方で、おそらく米国民にとって最も危険な核兵器の脅威に直面しています。私は、ジョン・F・ケネディ大統領とロナルド・レーガン大統領のビジョンを採用して、核兵器の拡散を阻止し、核兵器のない世界を追求する戦略を取っています。米国とロシアは、抑止力を確保する一方で、保有する核兵器と発射装置を削減するために、過去20年近くで最も広範囲に及ぶ軍縮協定の交渉を完了させようとしています。また、4月に行われる核安全保障サミットでは、44カ国の代表が、明確な目標を掲げて、ここワシントンDCに集まります。その目標とは、4年以内に世界各地の脆弱な核物質を安全に管理し、そうした物質がテロリストの手に渡らないようにすることです。

 こうした外交活動は、国際合意に違反して核兵器を追求することにこだわっている国々に対処する際に、私たちの立場を有利にする効果も発揮しています。その結果として、今、北朝鮮は孤立を深めるとともに、制裁措置の強化、すなわち制裁措置の厳しい執行に直面しています。また、国際社会の団結が強まり、イラン・イスラム共和国がますます孤立しています。そしてイランの指導層が引き続き自らの義務を無視すれば、彼らも間違いなく、より深刻な報いを受けることになるでしょう。それは約束されています。

 これこそ、私たちが提供しているリーダーシップであり、あらゆる人々の共通の安全保障と繁栄を推進するために関与しています。私たちは、G20を通じて、持続的な世界経済の回復を維持する努力をしています。世界各地のイスラム社会と協力して、科学と教育と革新を推進しています。気候変動対策においては、私たちは傍観者から指導者へと移行しました。私たちは、途上国の食糧入手を支援し、HIV・エイズとの闘いを続けています。そして私たちは、生物兵器テロや感染症に、より迅速かつ効果的に対応する能力を得るための新たな計画を開始します。それは、国内では脅威に対抗し、国外では公衆衛生を強化するという計画です。

 過去60年以上にわたって実行してきたように、米国がこうした行動を取るのは、その運命が国外の人たちの運命とつながっているからです。しかし、それだけではなく、それが正しいことでもあるからです。私たちがここに集まっている今夜も、1万人以上の米国民が、ハイチ国民による復興と再建を支援するために多くの国々と協力しているのは、そのためです。私たちが、アフガニスタンで学校へ行くことを切望する少女を応援し、イランの街頭を行進する女性たちの人権を支持し、ギニアで腐敗のために職を得られずにいる青年を支援するのは、そのためです。米国は、常に、自由と人間の尊厳を支持しなければならないからです。常に、です。

2010年オバマ大統領の一般教書演説全文
Remarks by the President in State of the Union Address
The White House
January 27, 2010
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ビデオ映像
The 2010 State of the Union Address - Video
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ホワイトハウスの解説記事
Putting Washington at the Service of the Middle Class
The White House
January 27, 2010
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国務省国際情報プログラム局の解説記事
America Must Lead Through Engagement, Obama Says
Bureau of International Information Programs, U.S. Department of State
January 27, 2010
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北朝鮮のテロ支援国家の再指定見送り (2/5/10)

オバマ大統領は2月3日、北朝鮮の2008年6月から2009年11月の行動を検証した結果、テロ支援国家として再指定する条件には該当しないとする書簡を議会に提出しました。

書簡
Letter from the President Regarding North Korea
The White House
February 3, 2010
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以下は、米議会調査局による北朝鮮のテロ支援国家の不指定についての報告書です。
North Korea: Terrorism List Removal
CRS Report for Congress January 6, 2010. RL30613. 29p.
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North Korea’s Nuclear Weapons: Technical Issues
CRS Report for Congress, January 8, 2010. RL34256. (PDF 1MB; 24p.)
国務省東アジア・太平洋局のサイト
Bureau of East Asian and Pacific Affairs
U.S. Department of State
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twitterツゥイタ―バラクオバマ
http://twitter.com/BarackObama

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