2009年2月25日水曜日

お辞儀


日本人にとって正式な挨拶といえば、お辞儀ということになるだろう。しかし、世界を見渡してみると、実にいろいろな挨拶が存在する。握手はもちろん、抱擁やお互いの頬にキスしたり、手を合わせて拝む地域もある。それぞれの起源も面白く、握手は利き腕を相手にあずけることで、相手を攻撃する意志が無いこと示している。抱擁は握手だけでは安心できず、背中まで確認する意味があり、確認後に堅い握手を交わす。そして、手を合わせて相手を拝むのは仏教的な意味合いが強く、高い位置で手を合わすほど、相手への大きな敬意を表している。

では、日本人のお辞儀にはどんな意味があるのだろうか。自然と身に付いたせいか、その意味を考えることなんてなかったに違いない。しかし、初対面での挨拶や、お礼、謝罪など、様々な場面で使うお辞儀は、握手や舞台の最後に行われるような西洋風のお辞儀とは意味が違うように思える。今回は、そんな日本人の挨拶、お辞儀について調べてみた。
お辞儀の意味

日本にお辞儀が登場したのは、弥生時代とも言われている。ただ、当時のお辞儀は、身分の高い人に対して庶民が敬意を示す際に、地面に座り頭を垂れるもので、挨拶というよりは服従のポーズだった。そして、挨拶として登場するのは、飛鳥時代~奈良時代の頃。中国の礼法を取り入れ、身分に応じたお辞儀の形が制定された記録が残されている。

しかし、なぜ握手や抱擁のような形ではなく、お辞儀が挨拶として好まれたのだろうか。これは、日本が島国であることや、日本の気候、儒教の影響など、様々な条件が関係しているという。まず、高温多湿の日本では、身体が接触する握手や抱擁は不快感が伴う行為であった。また、島国故に西欧諸国に比べて侵略や他民族に対する警戒心が薄く、さらに、儒教の影響によって、身分の違いや先輩、後輩などの関係が生活の中に存在していたために、対等に手を握り合うような挨拶などは受け入れ難かったらしい。日本人は、そうした理由もあって、自分の首を差し出し、相手に対して敵意がないことを表すお辞儀を挨拶としたのである。

ちなみに、正式な挨拶作法の資料によると、お辞儀は角度によって大きく3種類に分けることができる。立礼の場合、「最敬礼」は直立の姿勢から腰を基点に45度以上体を曲げる。「敬礼」は30~45度、「会釈」は15度程度。つまり、45度身体を曲げることは、相手に最高の敬意を示していることになる。

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